早春の候、平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
本学会は、国際的な細胞外小胞(EV)研究の加速に対応し、日本におけるEV研究の発展を目指して10年あまりの間、ISEVなどの世界的学術団体と連携しながらEV研究者の情報発信・共有の場を創出してまいりました。また、本学会の活動では、特定の疾患や研究領域に限定されることなく、微生物から植物、高等生物に至るまで生命の多様性を幅広くカバーし、基礎科学から臨床応用に至るまで幅広い分野でのイノベーションを促進することを目指し、その推進のために産学連携が必須と捉え、産業界からの産業ニーズや技術提供とアカデミアからの学術発信や技術的なニーズなどの双方向の意見交換、共同研究などを重視してまいりました。特に、2023年に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)がエクソソームを含む細胞外小胞EVを利用した治療用製剤に関する報告書を作成したため、我々も安全性と品質を確保するための大切なステップと捉え学会での情報提供、討論を活発に行ってきました。
しかしながら、EV研究に関してはまだ歴史が浅く、分類方法や専門用語の使い方をめぐって、世界的な一部に排他的な考え方も存在する一方、誤情報や間違った理解も存在します。
そのような現状を踏まえ、本学会では、日本EV研究の進展とその世界への発信、そしてその応用における品質管理への理解を深めることを目指しています。
第12回の日本細胞外小胞学術集会は、2025年10月14日~10月15日に大阪千里中央の千里ライフサイエンスセンターにて開催いたします。上記の従来の本学会の目指すところに加えまして、本大会では、これまでの日本におけるEV研究が基礎から応用まで先駆的な研究成果をあげて来たことを踏まえ、この流れを止めることなく、世界に向けてより有効な形で発信し、よりその存在感を示していくための方策などにも重きを置きたいと考えております。そこで、テーマは「開かれた細胞外小胞研究を世界に」とさせていただきました。EVが持つ無限の可能性に焦点を当て、基礎研究から臨床応用に至るまでの最新の研究成果を共有するとともに、今後の未来においてエクソソーム研究が直面する課題についても深く掘り下げていく予定です。大会前日の13日まで大阪万博が開催されており、万博と大会を合わせて来阪していただくことで、参加者の更なる増加も期待しております。既に当領域でご活躍されている企業の方のみならず,これから新たに参入しようと考えている皆様のご参加もお待ちしております。実り多き学術集会となりますよう,御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
2025年3月吉日
- 第12回日本細胞外小胞学会学術集会 大会長
大阪大学 微生物病研究所 - 幸谷 愛