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第50回日本臓器保存生物医学会学術集会




 この度、第50回日本臓器保存生物医学会学術集会を、愛知県岡崎市の図書館交流プラザりぶら(Libra)で、2024年11月8日(金)・9日(土)の2日間の日程で開催する運びとなりました。本学会は、わが国の臓器移植黎明期に「臓器保存研究会」として1974年に発足し1993年には、外科学・移植医学のみならず基礎医学、工学、薬学、生命科学等の研究者を加えたより広範な分野を対象とする「日本臓器保存生物医学会」に改組され50周年を迎えます。この歴史ある本学会の第50回学術集会を主催させていただくことを大変光栄に思います。

 思い起こせば、私がこの学会に関わる事になりましたのは、1999年5月に大阪吹田市の千里ライフサイエンスセンターで開催された第26回学術集会に参加した時に遡ります。前年にボストン留学から帰国し、留学先のラボの先輩で公私ともに大変お世話になった永野浩昭先生から当時大阪大学第二外科学教授であられた故 門田守人先生が学術集会を主催されるとのことでお声がけいただき、発表の機会を得ました。本学会とのご縁はそこから始まり、毎年学術集会に出席させていただく事になりました。

 留学中Tilney教授(故人、ハーバード大学移植外科学教授)から与えられた研究テーマは、慢性拒絶反応にかかわる非免疫学的因子に関する内容で、移植前の脳死や虚血再灌流障害、高血圧に関するリスクファクターの検討でした。帰国後は2002年母校の大阪医科大学泌尿器科(現 大阪医科薬科大学)から藤田保健衛生大学(現 藤田医科大学)泌尿器科に移動し、星長清隆教授(現 藤田学園理事長)にご指導いただきました。愛知県は献腎提供が多く、心停止下献腎提供、献腎移植に携わらせていただく機会を得ました。当時の心停止下献腎提供はいわゆるmarginal donorからの提供が大半を占め、留学中の研究テーマを臨床で目の当たりにすることとなり、本学会との関わりがより深まる機会となった次第です。

 第50回日本臓器保存生物医学会学術集会の会場は2023年のNHK大河ドラマ”どうする家康”で徳川家康の生誕地として改めて注目を浴び、ダイヤモンドプリンセス号の新型コロナ患者受け入れで開院前に名前を知られることとなった、私共が勤務いたします藤田医科大学 岡崎医療センターのある愛知県岡崎市で開催することといたしました。岡崎には大学共同利用機関法人 自然科学研究機構の基礎生物学研究所(NIBB)と生理学研究所(NIPS)があり、学会期間中は自然科学研究機構とのコラボレーション企画を計画しています。本学術集会を機に、より広く多くの研究者及び企業が集いあうことを期待しております。

 第50回学術集会のテーマは「技術力」といたしました。本学会は臨床の他の学会には見られない学際的な雰囲気が特徴で、移植 臓器保存の領域において医学、工学、薬学等の垣根を越えて各方面で様々な技術力を備えた研究者が集い意見を交わす学会であると感じています。学会期間中は例年 あるいはそれ以上に会場での熱い議論をお願いいたします。また学会では今後の日本臓器保存生物医学会を支えてくれる若手研究者の育成に重点をおき、基礎研究の大切さを分かち合うリサーチマインドを持った若手に「技術力」を継承していくことを支援していきたいと考えています。

 会員の皆様をはじめとして、ご参加いただくすべての皆様にとって記憶に残る有意義な第50回日本臓器保存生物医学会学術集会となるよう準備を進めておりますので、多くの方々のご参加をお待ちしております。


第50日本臓器保存生物医学会学術集会 会長
日本臓器保存生物医学会 理事長
日下 守
(藤田医科大学 岡崎医療センター 医学部
腎泌尿器外科学 教授)

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